2020年10月23日

スマトラ視察レポート〜OIC紹介

おらけんでは2019年2月にスマトラ島の視察を行いました。
国内動物園の飼育担当者数名と、おらけん代表の黒鳥、研究者そしてスタッフ有志が参加し、
スマトラオランウータンの保全に取り組む団体の視察と、生息地訪問を行いました。

今年度もタパヌリオランウータン生息地への視察(保全団体視察とエコツアー企画の下地作りを目的)などを予定していましたが、新型コロナウィルス流行のため残念ながら計画の延期・見直しを余儀なくされております。
いまは見通しがたちませんが、今後もできるかぎり機会をみつけて、現地へ足を運び現状を知り、しっかりと情報を得て普及していきたいと思っております。
いまはまず、2019年の視察レポートを投稿していきます!

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今回はスマトラオランウータン保護・保全活動を行う現地団体、
略称「OIC」(オーアイシー)
正式名称「Orangutan Information Centre」(オランウータン インフォメーション センター)
を紹介します。

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↑OIC訪問時の写真より。視察参加者からの寄付を手渡しているところ。
左OIC代表のパヌート氏、右おらけん代表の黒鳥。

※OICとおらけんの交流は、2018年冬にスタッフの川嶋がとあるきっかけでOICの獣医Ricko氏と知り合い、その後OICを単独訪問したことに始まります。2019年も総勢13名の訪問を快く受け入れてくださり、スライドによるレクチャーを交えた1時間半の有意義な訪問となりました。

まずOICという団体名を初めて聞くよ、どういう団体なの〜?という方も多いのではないでしょうか。
ほとんど日本には紹介されておらず馴染みがないといえるかもしれません。
それはこちらの団体に限らず、スマトラオランウータンの現地からの情報自体が日本に入ってくることが少なく、馴染みがないということでもありますね。
2018年冬にハンドメイド化粧品のLUSH(ラッシュ)とコラボしてOICへの支援商品”オランウータンソープ”という商品が日本でも販売されました。大変目をひく、オレンジ色のオランウータン型ソープでした。そこでOICを知った方もおられるかもしれませんね。

●OICとは・・2001年Panut Hadisiswoyo氏(パヌート氏・上の写真の方)によって創設された、100%インドネシアの人達によって運営されているNGO団体。
スタッフは現在約100名。メダン市内(スマトラ島で一番大きな都市)に事務所がある。

●OICの活動内容・・
1、違法にペットとされているオランウータンや、野生で孤立してしまったオランウータンの保護
2、生息地の回復(植林など)
3、人とオランウータンの衝突の軽減
4、生息地周辺の人々への教育活動
5、密猟や違法伐採のパトロール

と、オランウータン保護に関してたくさんの活動をされています。
スライドを交えて活動のレクチャーをうけ、オランウータンを脅かす多くの問題が発生していること、そして毎日懸命な努力で保護活動を推進されていることをひしひしと感じました。
訪問したのは2019年2月8日だったのですが「通報があって、明日も違法にペットにされているオランウータンを保護しにいくのだ」とおっしゃっておられました。保護の最前線なのだと実感しました。

その時に聞いたオランウータン保護の実例をいくつか紹介します。

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こちらはパヌート氏が実際に保護した時のものです。この個体は軍事基地で発見され、18年ものあいだ違法にペットとされていました。
おりの左下にある入り口をみてください、とても小さいです、赤ちゃんのときにここから入れられ、保護された当時はもう入り口を出ることができなくなっていて、18年間おりからでたことはなかったそうです。
現在は、クリスモンという名前でリハビリテーション施設に保護されています。
おりに閉じ込められていたせいで、高いところがこわくてのぼることができず、野生復帰はかなわないそうです。
(実際に私たちも、SOCPというところが運営するリハビリテーション施設でクリスモンに会いました)


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こちらは生息地周辺の分断した森、多くはパームオイルプランテーション開発などで森が伐採された場所なのですが、そこで孤立している個体を保護した時のものだそうです。
こういった野生個体は、その場で健康状態をチェックしてけがや病気など問題がないと判断されたら、発見された地点から一番近い生息地にリリースされます。
リリースする場所の選定はとてもむつかしく、また再び孤立することがないよう、なるべく開発圧の低い場所を選定しなくてはいけないそうですが、そういった場所は当然人が行きにくい場所です。

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そのためこのように人手で道なき道を進むということも多いそうです。
この写真は川を人力でなんとか運んだケースですが、実はこの川にはワニが生息していてOICのスタッフはそれをあとから村人から「君たちはなんて勇気があるんだ!」と称えられて知り、仰天したというエピソードがあるそうです。この写真はその時の苦労とともにとても思いで深い1枚なのだそうです。
この写真をみたとき、彼らの活動への情熱をとても感じました。

このような活動で、2012年〜2019年の間に総計186頭ものオランウータンが保護されたそうです。
一番近いケースでは2020年10月15日に分断された森でメスのオランウータンを保護したそうです。
保護を伝える記事(英語)
こちらの記事では保護された様子からリリースの様子(動画)が紹介されていますのでぜひご覧ください。

より詳しい活動やニュースがOICのWEBサイトにのっています。ぜひアクセスください!
OICのWEBサイト⇒https://orangutancentre.or/
(英語)(寄付もこちらからできます)


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訪問時の写真より。
パヌートさん、OICのみなさんありがとうございました!

(文責:川嶋)
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●OICのパヌートさんが登壇するオンラインセミナー(ZOOM)が開催!●
第3回「スマトラオランウータンの保全と熱帯林」
・開催日時2020年12月8日(火)19:00から21:00
・開催方法 オンライン会議システムzoom
・参加費 無料(事前申し込みが必要です)

申込・詳細は下記のURLにアクセスしてください。


https://www.gef.or.jp/news/event/201208tropicalforest/

皆様ふるってご参加ください!

posted by おらけん at 23:34| スマタパ